生産終了のご連絡
On-chip SPiSにつきまして、諸般の事情により生産を終了させて頂くことになりました。 つきましては、誠に勝手ながら在庫が無くなり次第廃番とさせて頂きますので ご連絡申し上げます。
近年、1細胞解析技術が注⽬されています。例えば、がん研究では多種類のクローンが含まれていることから、がん細胞を1個ずつ解析し各細胞のサブタイプや遺伝⼦変異を⾒分ける必要性が⾼まっています。
しかし、現在普及しているシングルセル解析装置は、操作性や技術的な⾯において満⾜できる精度に⾄っていません。限界希釈法は簡便かつ低コストな⼿法ですが1細胞分注の精度は約21%であり、リクローニング操作を繰り返しおこなう必要も⽣じます。
このような問題を解決するため、細胞を自動で高精度にウェルプレートに分注できるOn-chip SPiSが開発されました。
本装置を⽤いることで、簡単操作・短時間で、90%を超える1細胞分注精度を実現しました。
- 簡単・自動操作
- 使い捨てピペットチップ分注方式
- 自動希釈機能+CCDカメラの画像認識
- サンプルサイズは200 μmまで分注可能
従来の分注方法
(例: 平均0.3個での限界希釈法)
On-chip SPiS
1細胞分注のフローワーク
On-chip SPiSの1細胞分注の精度と解析速度
1細胞分注の精度と解析速度
A549細胞株を1細胞/1 wellで分注した結果、96 wellを54分で分注することができました。
また、1細胞分注されたwellは90であり、そのうち83 wellで増殖が確認されました。
分注された細胞数 | ウェル数 (割合) | 増殖したwell(割合) |
---|---|---|
0 | 4 (4.2%) | ー |
1 | 90 (93.8%) | 83 (92.2%) |
2 | 2 (2.1%) | 2 (100%) |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
A | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
B | 1 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
C | 1 | 1 | 1 | 0 | 1 | 1 | 1 | 0 | 1 | 1 | 1 | 1 |
D | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
E | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 1 |
F | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 |
G | 1 | 1 | 1 | 0 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
H | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
※区画1つ1つはWellを、数字は分注された細胞数を示す
個数指定分注の確認(ATPアッセイ)
個数指定分注
PC9細胞を1、2、3、5個/wellで各ウェルに分注しAPT量を測定すると、細胞数に相関して良好な検量線が描けます。
ATP量による分注精度検証
PC9細胞を1個/wellで96ウェルに分注し、ATP量で1細胞分注精度を検証可能です。
[分注精度89.5%]
・1細胞/ well: 86 well
・2細胞/ well: 10 well
アプリケーション
ノックアウト株の1細胞分注
On-chip SPiSは、ゲノム編集後のスクリーニングにも有用であることが確認されています。
CRISPR-Cas9によりポリオウイルス(PV)受容体のノックアウト細胞株を作製しました。1細胞ずつウェルプレートに分注し、培養後にウイルス感染を行った結果、PV耐性を獲得した49種のクローンの樹⽴に成功しました。
Collaboration with Dr. Koike, Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science
HDR変異クローンのセレクション
トランスフェクションしたHEK293T細胞を、On-chip Sort(当社開発のセルソーター)により陽性株を分取し、On-chip SPiSで1細胞分注を実施しました。その結果、ゲノム編集されたクローンを効率的にシングルセルで得ることができた。また、一度の実験でホモ変異をもつクローンを得る効率の高さも実証されました。
※セルソーターOn-chip Sortについてはこちら
*アレル頻度が20%未満の場合は”0″として除去した。
分注した細胞数:384
得られたクローン数:120
ゲノム編集が生じたクローン数:41
目的変異HDRをもつクローン数(ホモでもつクローン数):1
Collaboration with Dr. Miyaoka, Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science
サイズを揃えたスフェロイド塊の分注と薬剤評価試験
⽣体環境を再現できるスフェロイド(細胞塊)の利⽤は、抗癌剤などの薬剤評価において注⽬されていますが、⾼精度な評価にはスフェロイドのサイズの均一化が不可欠です。
そこでOn-chip SortおよびOn-chip SPiSを利⽤することで、⼀定サイズのスフェロイドを回収し、単⼀スフェロイドを簡便・迅速に分注することで、より精度の⾼い薬剤アッセイが可能となります。
細菌を培養したゲルマイクロドロップ(GMD) の分注
On-chip SPiSは細胞だけでなく、GMD (ゲルで固まった微小液滴) も分注することができます。1細胞から増殖した細菌はGMD内部にてマイクロコロニーを形成することで、CCDカメラによる認識が可能です。
応用例:
環境微生物や変異体ライブラリーに対するスクリーニングと単離
遊泳するテトラヒメナの分注と培養
原⽣動物のテトラヒメナを合計180 wellに1細胞/wellで分注し、3⽇間培養した結果、159 wellで1細胞分注され、そのうち137 wellで増殖が見られました。このことから、遊泳運動する細胞も⾼精度に分注できることが確認されました。
Collaboration with Dr. Nakano, Tsukuba University
SPEC & Product Information
製品名 | On-chip SPiS |
---|---|
製品番号 | 70001 |
装置構成 | 本体、制御PC (Windows) |
本体サイズ | 610 x 365 x 450 / W x D x H (mm) |
分注方式 | 使い捨てピペットチップ |
認識方法 | 解像度5メガピクセルCMOセンサー内蔵カメラによる画像認識 |
チップ内液量 | 0.2μL |
サンプル | 細胞、花粉、原生生物、細胞集塊、人口粒子(ビーズ)、ゲルマイクロドロップなど |
認識サイズ | 10 – 200 μm (培養細胞株で確認) |
分注精度 | 90%以上(サンプル状態に依存) |
バイオセーフティ | 安全キャビネット内に設置可能 |
ダメージ | 細胞等へのダメージは低い |
撹拌方法 | 使い捨てピペットチップによる自動撹拌 |
溶液 | 水 培養液 海水など |
処理速度 | 60分/ 96 well (参考時間 : 設定条件とサンプルの状態による) |
対応プレート | 96wellプレート、384wellプレート |
電源⼊⼒ | AC 100-120V, 50/60Hz |
消費電⼒ | 1.0A typ (ACIN 100V) |