オンチップ・バイオテクノロジーズのフローサイトメトリー・システムは世界に先駆け交換型マイクロ流路チップを採用しております。ダメージフリー、シース液フリー、コンタミネーションフリー、比較的大型のサンプルソーティング、操作性やメンテナンス性に優れた新しい特性を提供します。それにより、神経細胞、精子、細胞塊などこれまでは扱いにくかったサンプルなど幅広いサンプルを扱うことができます。
ダメージフリーソーティング
表現型への影響
既存のセルソーターはJet-in-Air方式などの液滴荷電ソーティングシステムを採用したものが一般的です。これらの細胞分取法はその過程で細胞が負う”Sorter-Induced Cellular Stress” （SICS, Lopez, P. (2018) CYTO2018）によりソーティング後に形態変化、増殖遅延、生存率低下、遺伝子発現変化など引き起こされることが認知されてきました。マイクロ流体型セルソーターは、独自のソーティングメカニズムにより従来方式に付きまとう細胞に有害なステップを排除し、SICSを大幅に削減することが可能になりました。
[ 生育への影響 ]
ストレスに弱い海馬神経細胞をソーティング・培養
[ 形態への影響 ]
末梢血中の好酸球細胞のソーティング後の様子を観察
遺伝子発現への影響
On-chip Sortおよび従来方式のセルソーターを用いて細胞をソーティング後、遺伝子発現量の変化を調査しました。
生育に影響する「細胞増殖」や「アポトーシス」などの遺伝子について、On-chip Sortでソーティングしたほうが遺伝子変化量が小さいことが明らかになりました。
また、解析した全データに対して、発現パターンが大きく変わった遺伝子数は、従来のセルソーターに比較して1/5程度でした。
以上のことからソーティング方法の違いが、ストレスとして細胞に影響を与える可能性が示唆されました。
細胞複合体
On-chip Sortは、通常のピペッティングによって容易に解離してしまうような細胞間の弱い結合も、保持したままソーティングが可能です。 下図は3種の細胞からなるサンプルから、このような細胞間相互作用によって形成された細胞ダブレット（緑色細胞および赤色細胞）の単離が可能であることを示しています。
大型サンプル
スフェロイドのソーティング
弊社セルソーターでは通常のソーターでは扱うことのできなかった大きい植物細胞や、細胞の凝集体であるスフェロイド、オルガノイドなどもソーティングが可能となり、より幅広いサンプルを扱うことが出来ます。
培養スフェロイドは大きさが不均一である場合が多く、薬物アッセイなどの用途のために均一な大きさの集団に単離することが必要であります。従来のセルソーターでスフェロイドをソーティングすると、高い剪断応力および高速での衝突のためスフェロイドが損傷や変形することがあるうえ、スフェロイドがノズルを通過せずソーティングができないことも少なくありません。 一方、On-chip Sortは、直径130 µmまでのスフェロイドをダメージ少なくソーティングできます。
シース液フリー
原生生物のソーティング
交換型のマイクロ流路チップは細胞培養用の培地や、海水、さらにはオイルをシース液にした解析やソーティングを可能としました。
図では、浸透圧に弱い原生生物に対して生理的塩類溶液をシース液として選択することで、細胞ダメージが少ない分離に成功しました。
マイクロ流路チップ技術を用いたセルソーター、On-chip Sortについて詳しくは、製品ページをご参照ください。
